私の好きな日本人 (幻冬舎新書ゴールド) [新書]
石原 慎太郎
政治家としては毀誉褒貶相半ばする著者だが、久し振りに読んで、この随筆はいいと思った。日本武尊、織田信長、大久保利通、広瀬武夫、岡本太郎、賀屋興宣、横山隆一、五島昇、小林秀雄、奥野肇と「私の好きな日本人」とタイトル通り、著者の生き様に影響を与えたこの国の先達について書き記したものであるが、文章の密度の濃さは比類ない(政治的書き物とは大違いだ)。
岡本太郎の『進歩というと、未来の方向ばかりに目を向ける。科学力を誇る。それが果たして、人間的・精神的な前進を意味しているか」「“調和”と言うが、馴れ合っている調和なんて卑しい。相手とぶつかり合って、闘わなければ本当の調和は生まれない。』の言葉は、太陽の塔を制作した時代に発せられた言葉。高度成長の真っ只中で、「重厚長大・大きい事はいいことだ・科学全盛・進歩は善」の時代にいってるからこそ、より一層意味がある。
日本領サイパン島の一万日 [単行本]
野村 進
当時の様子が目の前に彷彿とする取材力、想像力、緻密な世界。人の生活というものが、いつの時代も実はそんなかわらないものではないかと、ノスタルジックな気分に浸れる。
太平洋戦争 最後の証言 第二部 陸軍玉砕編 [単行本]
門田 隆将 (著)
太平洋戦争 最後の証言 第三部 大和沈没編 [単行本]
門田 隆将 (著)
日韓併合
李朝滅亡・抵抗の記憶と光復 1910-2010
片野 次雄/著
絢爛たる悪運 岸信介伝 [単行本]
工藤 美代子
工藤 美代子ははじめた読んだが(上坂冬子さんみたいな保守右翼の系統らしい)、女流ばなれした分析力はともかく感心。早速、「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」もあわせて読了。
ルソン島・野戦病院全滅の記 鉄兵団・バレテ峠・死の彷徨
西井 弘之/著
逆説の日本史 18 幕末年代史編1 [単行本]
井沢 元彦 (著)
アイヌ史詳述。以下の「私の遺言」ででてくるアイヌの怨念がいかに生まれたか。蝦夷(えみしとエゾはどう違うか)、その他朱子学がいかに世の中をおかしくしたか。相変わらず、井沢元彦の視点は鋭い。
私の遺言 [単行本]
佐藤 愛子 (著)
北海道に山荘を建てたときからそれは始まった。屋根の上の足音、ラップ音、家具の移動をともなう様々な超常現象、激しい頭痛。私はあらゆる霊能者に相談してその原因を探った。そうせずにはいられなかった。やがてわかった佐藤家の先祖とアイヌとの因縁。霊界の実相を正しく伝えることが私に与えられた使命だったのか。浄化のための30年に及ぶ苛烈な戦いを記した渾身のメッセージ。
もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら (幽ブックス) [単行本]
工藤 美代子 (著)
幽霊までも分析してしまうノンフィクション作家。無条件に面白い。
雲と風と~伝教大師最澄の生涯
永井路子 (著)
駅前の古本屋に並んで衝動買い。数ページ読んで、著者独自の思考力にひきこまれつつある。司馬遼太郎の名作「空海の風景」は空海サイドからみた最澄だが、本作が最澄本人をどう描いているのか興味あり(個人的には、人間くさく弱さがある最澄に最近は親近感を感じたりもする・・・高野山が結局、空海一代限りでストップしてしまったのに対し、最澄が「足りない人」だったからこそ、後進たちが総合大学比叡山で最澄の切り開いた道を継承し、のちに鎌倉仏教へと大きく花開いた)。