昭和史関係がこの所多い。幕末維新が多数の英傑を生んだ風に見えて、昭和初期が単なる暗い時代だったイメージ(かかわっている人物も狂信的な国粋主義者ばかり)のところ、実はそうでもない事に気づかされる。とともに、司馬遼太郎は「坂の上の雲=明治国家まで」で、それ以降について定番的な国民的史観がなかったが、ようやく昨今ここら辺もそろそろ評価がかたまりつつある。さらにいえば、いまの時代、昭和初期の戦争前夜に似てる(時代の潮目)で歴史に学ぶ意味があろうという事も。

(昭和史関係)

甘粕正彦乱心の曠野 佐野 眞一/著     新潮社
満州裏史 甘粕正彦と岸信介が背負ったもの (講談社文庫) 太田 尚樹 (2011/8/12)
昭和陸軍の軌跡 – 永田鉄山の構想とその分岐 (中公新書) 川田 稔
日本の戦争―なぜ、戦いに踏み切ったか? 田原 総一朗
なぜ日本は「大東亜戦争」を戦ったのか 田原 総一朗
★日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21) 山本 七平 (2004/3/10)
洪思翊中将の処刑 (山本七平ライブラリー) 山本 七平 (1997/7)
日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く 佐藤 優 (2006/4/22)
革命家・北一輝―「日本改造法案大綱」と昭和維新 豊田 穣 (著)
地ひらく〈上〉―石原莞爾と昭和の夢 (文春文庫) 福田 和也
神に祈らず―大杉栄はなぜ殺されたのか 宮崎 学 (2000/7)
★白狼伝 宮崎 学

(幕末関係)

渋沢栄一 近代の創造 (NON SELECT) 山本 七平
西郷の貌 加治 将一
幕末 維新の暗号 加治 将一
★龍馬の黒幕 明治維新と英国諜報部、そしてフリーメーソン (祥伝社文庫) 加治 将一
逆説の日本史 18 幕末年代史編1 井沢 元彦

(戦後史)

★続・突破者 宮崎学
★突破者〈上〉―戦後史の陰を駆け抜けた50年 (新潮文庫)
日本人のための新「幸福論」: 「NOと言える人」の時代が来た 田原 総一朗、佐藤 優、 宮崎 学 (2012/4/6)

(その他)

外務省に告ぐ 佐藤優
交渉術 佐藤優
交渉には三つの類型がある。1 力、脅しによる交渉 2 取引たる交渉(互いの立場を摺り寄せて妥協点を見出す) 3 交渉回避のための交渉(交渉に持ち込むことで損失が生じるなら、交渉の場にならぬように持っていくのが合理的)
「正義」を叫ぶ者こそ疑え 宮崎 学
宮崎学の兵法 宮崎 学

(経済思想)

希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 池田 信夫 (2009/10/9)
★ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書) 池田 信夫 (2008/8/19)

(紀行ノンフィクション)

空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む (集英社文庫) 角幡 唯介

(隆慶一郎の小説) 2012年はもっぱら年明けから終始、隆作品ばかりだった。

隆慶一郎の作品には、歴史小説にとっての大切な要素、すなわち独自の歴史観、魅力ある人物造形、物語としての真実性(成程という史実に即した納得感がないとリアリティが感じられない)がある。
「網野善彦らの中世近世史研究を大胆に取り入れ、これまで描かれなかった非農業民(無縁・公界・楽)を中心とした庶民の歴史を描くことに成功している」

一夢庵風流記 (新潮文庫)
★影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)
吉原御免状 (新潮文庫)
かくれさと苦界行 (新潮文庫)
★死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

常住坐臥、死と隣合せに生きる葉隠武士たち。佐賀鍋島藩の斎藤杢之助は、「死人」として生きる典型的な「葉隠」武士である。「死人」ゆえに奔放苛烈な「いくさ人」であり、島原の乱では、莫逆の友、中野求波と敵陣一番乗りを果たす。だが、鍋島藩を天領としたい老中松平信綱は、彼らの武功を抜駆けとみなし、鍋島藩弾圧を策す。杢之助ら葉隠武士三人衆の己の威信を賭けた闘いが始まった。(未完)

★花と火の帝(上) (講談社文庫)

後水尾天皇は十六歳の若さで即位するが、徳川幕府の圧力で二代将軍秀忠の娘、和子を皇后とすることを余儀なくされる。「鬼の子孫」八瀬童子の流れをくむ岩介ら“天皇の隠密”とともに、帝は権力に屈せず、自由を求めて、幕府の強大な権力と闘う決意をする…。著者の絶筆となった、構想宏大な伝奇ロマン大作。(未完)

★捨て童子・松平忠輝(上) (講談社文庫)

捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物。徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」といわれた“鬼っ子”松平忠輝の異形の生涯を描く、伝奇ロマン傑作。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。

★見知らぬ海へ (講談社文庫)

戦国末期、好きな釣りに出ている時、城が敵の攻撃を受け、父と兄を失った男がいた。魚釣り侍と揶揄された向井正綱だが、遺志を受け継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で向井水軍の長として頭角を現していく。迫力溢れる戦闘場面、戦乱の世での父と子の生き様、徳川家康をも唸らせた、海の武将を描く歴史小説。(未完)

時代小説の愉しみ (講談社文庫)

代表作が多く未完にも関わらず、読み継がれている(それだけ魅力ある、ということだろう)。

—–

レビュー対象商品: 宮崎学の兵法 (単行本)

●プラス思考への疑問

 多くの人がプラス思考を口にする。不安なとき、困難に直面したとき、それで助けられることがある。
 でもこの頃、プラス思考に疑問を持つようになった。
 自分の都合のいいように考えるだけではないか、とも思う。

 ものごとがうまくいくのを考えるのは楽しい。嫌なことは起こってほしくないと願う。失敗するのが恐いのだ。
 しかし現実は個人の思いこみとは無関係に動いている。

<本書で教えられたこと>
●イメージを捨てて現実を見る

 一つの事柄を考える場合には、常にプラスとマイナスを考える必要がある。
 最善のケースと最悪のケースを考える。最悪の事態を想定して行動を起こす。
 成功することばかり考えていると、一面的な思考になりやすい。

 現実をありのままにとらえることが、問題解決の第一歩である。自分の今いる立場、位置がわかると、為すべきことを示唆してくれる。

●失敗は恐くない

 人生は失敗するほうが圧倒的に多い。成功することのほうが少ない。これが現実だ。
 勝ちは偶然、ラッキーな面があるが、負けは必然である。負けはわかりやすい。それを次のステップとして考える。失敗は多くのことを教えてくれる。
 負けをいかに早く知るかが大切。上手に負けることを覚えよう。

 失敗すれば堂々と認める。またゼロからやり直せばいい。失敗は、恐くない。
 失敗しても、負けたと思っても、生き残っていれば次がある。生き残ったということが、最終的には勝ちである。人生の目的は成功することではない。何があっても生き抜くことなのだ。

●正義なんてことに、こだわるな

 人と人のみならず、国と国の間でも争い事は絶えない。
 お互いが自分たちこそ正しく、相手の非をなじる。正しいと思いこむほど、対立が深まる。

 争いはたいてい両方が悪い。自分が絶対に正しいと思いこまず、さっさとケリをつけてしまおう。長引けばお互いに消耗するだけだ。なんの利益もない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です